市長より、市民の会への回答が届きました

12月15日のパブリック・コメントの回答が公表され、「浜松市子ども育成条例について考える市民の会」には、鈴木康友市長から10月9日に提出した意見書の回答が届きました。
意見書は、9つの提案(市が独自に振り分け)として取り上げられたようです。
回答を、掲載します。


◇第一条 前文に対する意見

提案10  
国際性を豊かにもった子どもの権利条約を前文にうたい、その基本的な理念を条例にもっと盛り込んでいただきたい
喜多 明人さん(早稲田大学文学部、教育法学)の意見

【市の考え方】 今後の参考
 地域のあらゆる力を結集し、未来を担う子どもが健やかに育まれる社会を実現するためには、児童の権利条約に定められている権利も重要な事柄の一つであると考えています。
 本条例(案)は、子どもの権利に特化した条例ではありませんが、基本理念の第一に、「すべての子どもが人としての尊厳を有し、かけがえのない存在として尊重されるとともに、子どもにとって最善の利益が考慮されること」と基本的人権の尊重についてうたうとともに、基本理念を実現するためのそれぞれの役割などを条例(案)に位置付けております。



◇第1章 第4条子どもの役割に対する意見

提案39  大人の目線で子どもに対して一方的に役割を課している。子どもに権利を保障していないにもかかわらず、社会的に自立した大人に成長することを求めるなど、子どもに対して役割が一方的に押し付けられています。子どもが安心して豊かに過ごすことができるよう、まずは大人が保障すべきです。また、ユニセフが提唱しているような「子どもの参加や意見の尊重」を具体的に盛り込むことも必要です。なお、子どもといっても幼児に対して、「生きる力を身に付ける」ことや「自己の向上に努める」ことを求めるのはそもそも無理があります。
市民の会の意見

提案41  
「このように育つ」ために大人は何をしたら良いのか、どのような環境を整えたらよいのか考えるのかと思っていたら、「このように育て」と子どもに要望することに違和感を覚えた。
勝浦 範子 さん(静岡文化芸術大学文化政策学部、教育心理学)の意見

【市の考え方】 案の修正
 「子どもの役割」については、条例(案)を作成するために行った子ども向けのアンケート調査や学校訪問調査等において、子どもたちから自分自身ができること、努力すべきことについての意見が出されたため、条例の基本理念を踏まえ、子どもが自分自身で目指すものについて表現し、位置づけたものです。
 しかし、条例の趣旨に合わない、義務感が強いなどのご意見もいただいているため、ご提案を踏まえ、第4条 子どもの役割は削除し、基本理念を一部修正します。
 また、本条例(案)は、基本理念の第一に、「すべての子どもが人としての尊厳を有し、かけがえのない存在として尊重されるとともに、子どもにとって最善の利益が考慮されること」と基本的人権の尊重についてうたっています。
 なお、本条例を子どもにも分かりやすく普及・啓発するために、子ども向けパンフレットなどの普及ツールを用いたり、学校等と連携して直接子どもとの対話を通じて条例についての意識啓発を図っていきます。


提案84  
子どもの権利が保障されていない。「子どもの尊厳」や「子どもの最善の利益の考慮」が基本理念にうたわれているにもかかわらず、その後の条項には、子どもの育ちや子どもの権利に関する規程が全くありません。子どもがいじめ、虐待、不登校等の問題に直面した場合の救済方法も示されていません。子どもの権利に関しては理念倒れであり、この条例では、子どもが安心して遊び、学び、育つことが保障されません。
市民の会の意見

【市の考え方】 今後の参考
 「児童の権利に関する条約」は、18歳未満のすべての人の保護と基本的人権の尊重を促進することを目的に、子どもを人権の主人公として尊重し、独立した人格を持つ権利の主体としてとらえています。
 地域のあらゆる力を結集し、未来を担う子どもが健やかに育まれる社会を実現するには、この条約に定められている権利は重要な事柄の1つであると認識しております。
 本条例(案)は、子どもの権利に特化した条例ではありませんが、基本理念の第一に、「すべての子どもが人としての尊厳を有し、かけがえのない存在として尊重されるとともに、子どもにとって最善の利益が考慮されること」と基本的人権の尊重についてうたうとともに、基本理念を実現するためのそれぞれの役割などを条例(案)に位置付け、子どもが生き生きと輝き、子育てがしやすく楽しいと感じられる社会を実現することを目的としています。
 条例案を作成する段階では、保護者向けのアンケート調査や、グループインタビュー、子ども向けのアンケート調査や学校訪問調査、企業や子育て関連団体等へのヒアリングなど、様々な手法でご意見を伺い、調査客体は約13,000人になりました。また、児童健全育成やPTA、人権擁護など、様々な分野の有識者から組織する浜松市社会福祉審議会児童福祉専門分科会においても条例をお示しし、ご意見を伺っております。
 なお、本条例を子どもにも分かりやすく普及・啓発するために、子ども向けパンフレットなどの普及ツールを用いたり、学校等と連携して直接子どもとの対話を通じて条例についての意識啓発を図っていきます。


提案92  
子どもの「未来」しか語られていない。今の子どもが地域やまちづくりに果たす役割をユニセフは求めてきましたし、今日本の各地で地域の「子ども会議」が開催されまちづくりに貢献しています。子どもにやさしいまちづくりが全国で展開している中で、浜松市が静岡で先陣を切っていただきたいと願います。
喜多 明人さん(早稲田大学文学部、教育法学)の意見

【市の考え方】 今後の参考
 本条例(案)の作成にあたっては、子育て中の親を対象としたニーズ調査や子育て支援団体等を対象としたグループインタビュー、児童・生徒を対象とした学校訪問調査や企業ヒアリング等を幅広く実施し、子どもや子育ての課題を把握するとともに、パブリック・コメントの実施前から様々な団体等との意見交換などを実施するなど「制定プロセス」を重視してきた結果、調査客体は全体で約13,000人となりました。
 特に、全国唯一と思われる31校、約1,200人を対象とした学校訪問調査では、子ども達からは「将来はどんな親になりたいか」、「どんな家庭を築きたいか」などについて、また、学校関係者からは「子どもを取り巻く様々な課題」や「条例の普及には是非子どもたちを巻き込んでほしい」など、条例制定に向け大変参考になる意見を直接聴くことができ、子ども達の市政参画の新たな手法として大きな成果と期待を得ることができたと感じております。
 また、条例が制定されたあとも、学校等とも連携して、子どもを巻き込んだ条例の普及・啓発や子どもの市政参画・社会参画の機会の提供に取り組んでいく必要があると考えております。


◇第2章 はままつ子どもとふれあう日 第10条 はままつ子どもとふれあう日

提案159  
「ふれあう日」を設定する理由や必要性が不明である。わざわざこのような日を制定する意味はほとんどない。他人から与えられなくても、市民(主に保護者)は子どもとふれあいたいと思っているし、できる限りふれあうようにしている。必要なのは、「ふれあう日」のようなきっかけではなく、大人と子どもがふれあいたいときにそうすることを保障してくれる条件整備です。
市民の会の意見

【市の考え方】 案の修正
 市民一人一人がそれぞれの立場で子どもの育ちについて考え、触れ合うことにより、子どもとのコミュニケーションを深めるきっかけとなるよう設けるものです。ご提案の「子どもとふれあう日」については、再考した結果、複数日に多くの市民が子どもふれあうことができるよう、条例案を修正します。


◇条例全体に対する意見

提案181  
条例案の内容も全般的に具体性を欠いているので、条例を制定する意義や目的が明確でない。条例が存在しなくても、子ども施策を実施していくことができるのは、明らかです。ところが、「今、なぜ」この条例をわざわざ制定する必要があるのか、市民に対してほとんど説明がされていません
市民の会の意見

 【市の考え方】 今後の参考
 本条例(案)は、未来を担う子どもを社会全体で健全に育成し、支えていくための取組について基本理念を定め、それぞれの役割を明らかにするとともに、市の基本的施策を定め総合的かつ計画的に推進することにより、子どもが生き生きと輝き、子育てがしやすく楽しいと感じられる社会を実現することを目的に制定いたします。
 また、本条例(案)の作成にあたっては、子どもから大人まで幅広い御意見を伺い、「親の視点」だけでなく、「子どもの視点」を大切にするために、子育て中の親を対象としたニーズ調査や子育て支援団体等を対象としたグループインタビュー、児童・生徒を対象とした学校訪問調査や企業ヒアリング等を幅広く実施し、子どもや子育ての課題を把握するとともに、パブリック・コメントの実施前から様々な団体等との意見交換などを実施するなど「制定プロセス」を重視してまいりました。
 本条例(案)に基づき策定する行動計画では、「地域社会における子育て支援」など7つの基本施策を位置付けます。関連する他の行動計画と併せ、着実な推進に努めてまいりますが、推進に当たっては、親の視点だけでなく、子どもの視点を大切に取り組んでいきます。
 行動計画をより一層推進するためには、行動計画と併せて、「浜松市子ども育成条例(案)」を制定し、基本理念やそれぞれの役割を明らかにすることにより、子どもが生き生きと輝き、子育てがしやすく楽しいと感じられる社会の実現に、社会全体で取り組んでいくことが必要と考えております。


提案185  
子育て支援に関して具体性のある規定がない。この条例は、次世代育成支援対策行動計画の基本理念として位置付けられていますが、子育て支援に関する方向性や方策が示されていません。特に市が具体的にどのような役割を果たすかが明らかではありません。この条例を見る限り、子育て支援に関しては、市が積極的な役割を果たすことを回避し、保護者、学校、事業主等にその役割を転嫁しようとしているように思われます。
市民の会の意見

【市の考え方】 その他
 本条例(案)に基づき策定する行動計画では、「地域社会における子育て支援」、「子育て中の親子・思春期の子どもたちの健康の確保及び増進」、「心身の健やかな成長を願う教育環境の整備」、「子育てを支援する生活環境の整備」、「職業生活と家庭生活の両立の推進」、「子ども等の安全の確保」、「保護を必要とする児童へのきめ細かな対応」の7つの基本施策を位置付けます。関連する他の行動計画と併せ、着実な推進に努めてまいりますが、推進に当たっては、親の視点だけでなく、子どもの視点を大切に取り組んでいきます。
 御指摘の「第10条 はままつ子どもとふれあう日(修正後は、「はままつ子どもふれあいウィーク」)、「第11条 計画の策定等」、「第12条 広報及び啓発」は、それぞれ条文化する必要性があるものと考えております。


提案256  
進行管理や評価の仕組みが設けられていない。この条例に基づく市の施策の進行を管理したり、各主体の取組を評価したりするための仕組み(例えば「評価委員会の設置」)が設けられていません。また、子どもの権利救済や擁護のためのオンブズパーソン制度の設置も盛り込まれていません。条例自体が具体性を欠いている上に、条例の有効性を担保するための仕組みが欠如しているため、条例が形骸化することは必至です。
市民の会の意見


【市の考え方】 今後の参考
 本条例(案)において「進行管理や評価」については位置付けませんが、条例に基づき策定する行動計画には、「計画の基本的な考え方」や「施策の目標や概要」、「計画の推進体制や進行管理、行動計画の評価」について位置付ける予定です。
 次世代育成支援行動計画の事業等の進捗状況については、毎年度、各所管課による評価を行うとともに、市長を本部長とする浜松市次世代育成支援推進本部会議、同ワーキング・グループ会議、浜松市社会福祉審議会児童福祉専門分科会に報告し、ホームページ等で毎年度実績を公表してまいきます。



意見書への回答
意見書への回答(2009-10-28 13:07)

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